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Channel: ポランの広場|福祉情報工学と市民活動
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ALDというADLと勘違いしそうな難病

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私が大学生だった 1997年,ある看護学生からすすめられた映画が「ロレンツォのオイル〜命の詩〜」でした。
正直なところ,そのタイトルに興味は持てませんでしたし,パッケージはどうも地味で面白そうに思えません。

当時はCGを使った映画がもてはやされたこともあり,純粋なヒューマンモノは見向きされにくい雰囲気。
ヒューマンモノの「フォレスト・ガンプ」だって実はCGをバリバリ使っていましたし,アクションモノの「アポロ13」は言うまでもありません。

けっきょく,勧められるがままに観ることとなった「ロレンツォのオイル」。
それは実話を題材としたものでした。
ALDなる難病になった少年とその両親の物語。
なんと,両親が特効薬を作ってしまう嘘のような本当の話でした。
今観てみれば,特別教育・意思伝達装置・在宅医療やケアなど,目下関心を持っている題材が散りばめられています。

映画については,こちらのページをみるとざっくりわかります。
映画化した感動の実話「ロレンツォのオイル」の知られざるその後

今回訪問した本間さんは,ALDを発症した息子さん光太郎くん(26歳)と暮らします。
先月末に鹿児島でお会いした松岡さんから紹介していただきました。
松岡さんの息子さんもALD。
これを期に,はじめてALDを具体的に意識しました。

本間さんはALDの患者会を主催。
極めて高いアクティビティで患者会を盛り立てています。

A-Future

私の未熟な経験をどう生かすことができるのかは全く不明です。
SMAっ子へのアプローチとはきっと異なるでしょう。
ALSとはまったく異なるでしょう。

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光太郎くんは6歳のときにALDを発症。
それから,本間一家の生活は180度変わりました。
母親のりえさんは「いのち、光るとき」にそう記しています。

写真の絵画は光太郎くんが描いたもの。
実に彩色のバランスがよいイラストです。
額縁に負けずに,しっかり自立しています。

今,光太郎くんからは明確な言語的反応はありません。
ただ,確かに意思を感じます。
呼吸器を鳴らす子どもがいるように,光太郎くんは彼なりのコミュニケーション方法で情報を発信していました。
一度出会った以上,ご両親に煙たがられれないかぎりは関わっていこうと思います。

人間は実に高度な多様性を持った生き物です。
デブがいればALDもいる。ガリもいればALSもいる。
SMA・糖尿病・痴呆症・統合失調症・脳血管障害にガン,そう誰もが通る道。
これらを否定するということは自らを否定するということに他なりません。

あらゆる多様性を上手に受け入れることのできる社会こそ,ずっと生き残ることのできる社会。
巨大地震や巨大隕石衝突があったって,ALSやALDを克服できる社会なら,きっと滅亡することはないでしょう。

「優秀」な個体だけを選別する社会なら?
それは歴史が証明してくれていますね。


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