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Channel: ポランの広場|福祉情報工学と市民活動
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福祉情報工学を専門にしたワケ

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牡蠣国より江戸着。
あさってのFIT2017での研究発表のためやってきました。
実は,今日はちょっと楽しみなのです。

話せばちょっとだけ長くなります。

イーハトーブ大学の大学生だった1996年。
この年にインターネットをはじめました。

めぼしい情報源は英語が多く,まともな日本語サイトはあまり多くはありませんでした。
また,Google検索のような重要度を判定するロボット検索がなかったため,気軽にキーワード検索してページを見て回るようなことができない時代でした。

確実な情報を得るには,今は絶滅したであろうニュースグループをほじくり返すのが常でした。
しかし,あまりに分野が細分化していたため気軽に使うには面倒な代物。
そこで,主力にしていたサービスは,今も残るメーリングリスト。

そんな中,PC関連のメーリングリストで出会った「モリーオ在住のPCに詳しい人(男)」と会うことになりました。
イーハトーブからの参加者は限られていたため,同じモリーオ在住だったのは大変親近感がわき,オフラインで会うことになりました。
当時は,映画「(ハル)」から分かるように,ネット上で知り合った人と会うのはそれほど違和感がなかったのです。

その「詳しい人」に実際に会ってみると,なんと全盲!
しかも,盲学校の先生をやっているといいうではありませんか。
見えていないのに,あんま&鍼灸を教えているとも。

会う瞬間まで全盲どころか,何らかの身体障害があることさえもまったく気づきませんでした。
まあ思い返してみれば漢字変換にミスがちょこちょこあったり,改行ポイントが異様にキッチリしていたり,ヒントはありましたけども。

福祉機器といえば車いすくらいしか知りませんでしたし,コンピュータによる支援機器などは別世界の道具でした。
後日,お宅に訪問させてもらうと,文字の読み上げだけをする装置・Windowsが大流行の時にMS-DOSマシン,ブレイルメモや触れる時計など,今思えば全盲の方が使う最新機器が揃っていたのを懐かしく思い出します。

若かった自分には,全盲の人がインターネット空間で健常者と同じ振る舞いをしていたのはほんとうに驚きでした。
PCときちんとした道具があれば,インターネット(もしくはパソコン通信)上では身体障害が無くなってしまうと思ったからです。

さらには,実生活でも自由に町を歩き,小鉢の多い定食でも食べることができ,フルタイムの仕事をしてしっかり自立していることに衝撃を受けました。
あわせて,支援機器が生活の多くの部分を支えていることがよくわかりました。

それから20年以上。
その方は,今では江戸のとある国立支援学校に勤務し,結婚して子どももいます。
ただ,やはり全盲ですのでPC利用には困難が伴います。

どうやら,今まさにけっこう大変なトラブルに遭遇している模様。
というわけで,この江戸滞在を利用して,本日はパソボラ&友人として「詳しい人」のお宅訪問。
全盲用の道具のよもやま話しを聞きながら,トラブルの確認をしてきましょう。

不思議な不思議な全盲の世界。
道具を通して垣間見ることができます。

20数年前の体験が,今,福祉情報工学を専門とする導きとなっています。
15数年以上もまともに取り組めませんでしたけども。


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