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Channel: ポランの広場|福祉情報工学と市民活動
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【悔いなし!】ほぼ盲ろうの元女子大生による教員採用試験への挑戦

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試験後の晴れやかな姿

これまでポランの広場では,何度か熊本の橋本紗貴さんを取り上げてきました。

ほぼ盲ろう&四肢不自由の,今年大学を卒業したばかりの女の子です。

極めて重い身体障害にも関わらず,教員を目指す姿は誰もが応援したくなるものでした。

その努力と根性がとんでもないものだったからです。

去年の試験では,教育委員会との配慮事項の行き違いにより,十分に実力が発揮できませんでした。

でも,今年は「悔いなし!」だったとのこと。

今年の本番試験後には,以下のコメントをもらいました。

教員採用試験が終わり,自分の今持っている力は出し切ったと思います。

試験を受けるまでにたくさんの壁がありました。

視覚障害 ,聴覚障害 , 肢体不自由 , その他色々な障害が重複していることで実習に行き , 試験を受け , 教員になるのは無理だと決めつける教職の先生がたくさんいらっしゃいました。

そして , 去年までの受験資格等には「介助者なしに教員としての職務が可能な者」と書いてあることで , 「あなたは(車いすで介助がいるから)教員採用試験は受けられないけど , それは知ってる?」と大学の先生から言われた時 , 悲しかったですが前に進む原動力になり , ますます教師になるという気持ちが強くなりました。

みんなと同じように試験を受けられたことは私にとって大きな一歩ですし , これから生きていく上で自信にも繋がりました。

ここにくるまでこんな私にたくさんの支援,応援 ,情報提供をしてくださった方への感謝の気持ちでいっぱいです。

試験を受けられたことがゴールではありません。

これからも前に進んでいきますので、よろしくお願いします。

橋本紗貴さんより(2019年7月16日)

なお,紗貴さんの試験前日のブログはこちらです。

まずはお疲れさま!

「介助者なしに教員としての職務が可能な者」 の条件は削除されたのは大きな追い風でしたね。

おそらくは,紗貴さんの受験例があったことから,撤廃されたのだと思います。

さらに推測すれば,受験配慮の不備を考慮すると,去年の成績はたいへんいいものだったのでしょう。

ここで,少しだけ紗貴さんの身体状態や勉強環境を取り上げてみます。

身体状況の詳しい説明は「橋本紗貴の取扱説明書」にあります。

大学での授業はこんな感じ
通学風景
橋本紗貴の取扱説明書」より
橋本紗貴の取扱説明書」より

盲ろう(視覚障害+聴覚障害)だけでもたいへん過酷な状況ですが,それに加えて肢体不自由も。。。

さらには,感覚障害もあるので,支援機器を操作するだけでも大変な労力が伴います。

支援機器の多くは紗貴さん本人が選定して使用しています。

これでもすべてではありません

これだけの種類の機器を使っている方が他にいるでしょうか??

しかも自分で調査して,試用して,実用時には設定も自分でこなしています。

私はこれを超える例を知りません。

まじか!と思いました

人間の限界は「諦めたとき」にやってきます。

逆に言えば,諦めない限りは可能性は常にあるのです。

見えない中での視線入力。

大学の授業での自身によるノートテイクなどは,視線入力で行うそうですが,画面は見えていません。

キーボードの位置を記憶し,頭の中のイメージで入力しています。

疲れたら点字も活用

まさかの独学点字ユーザー。

手話&触手話もやります。

よくぞ点字&手話を独学で覚えたものだと,感動せざるを得ません。

通常,点字はよほど子どもの頃からじゃないとマスターするのは困難なのです。さらに,感覚の障害があるというのに。。。

もはや,紗貴さんの学ぶ意欲を誰も止めることはできません。

大学の授業模様

大学での授業は大変!

これだけの機器がないとついていけません。

いや,これだけあっても,見えない聞こえない中では十分な情報を得るのは困難です。

手書きでの提出物はたいへんな労力を伴います。

会話をするときは特殊なマイクを使います

ディスカッションがあればさらに大変です。

ちょっと特殊な機器(コミューン)を使って,補聴器越しで聞き取りできるようにしています。

紗貴さんの発話は比較的しっかりしていますが,騒々しい中では声がかき消されてしまうことも。

自宅での受験勉強

普通に紙の本を読むことができないため,スキャンしたものを拡大したり機械で読み上げたりしてインプットします。

ページ全体を見ることができないので,勉強の効率は大幅に落ちるのは避けられません。

活字の場合は,常に数文字単位での情報インプットです。

右目を隠すと視線入力が安定することも
書字は苦手(^_^;)

感覚障害等のため,書字は苦手です。余計に体力を消耗します。

本番試験では,幸いなことにパソコン対応です。

実習前には教科書のデジタル化を全国の人たちと!

思い返せば,ある学校での教育実習の際,急きょ紙の教科書のデジタル化が必要になり,ソーシャルの力を借りて稀に見るスピードでデジタル化しました。

Googleドキュメントをみんなで編集
サポーターのみなさん

インターネット&SNS&Googleドキュメント(クラウド)を最大限に活用できた事例になりました。

みなさんが,普段の紗貴さんのがんばりを知っているからこその「元気玉」。

日々の生活では,お母さまをはじめ,ご兄弟による愛情深いの支援がありました。

お母さまにいたっては,体を張っての毎日の通学。

きっと,ご苦労が耐えなかったものと思います。

腰が~
学食にて

第三者の私からみれば,その姿は美しいものでしたが,その一言では済まない様々なことがあったことでしょう。。。

そして,今年の教員採用試験リベンジ!

本番試験のある7月14日の目前,6月初旬に教員採用試験の模擬試験が行われました。

本番試験同様の配慮で挑みました。

その結果がこちらです。

3科目で1036人中1位!
(もちろん、本人から掲載許可を得ています)

信じられない結果です。

5科目のうち3科目で1036中1位!

こんなレーダーグラフ見たことない!

どんな受験生よりも不利な身体状況の中でのこの成績。。。

紗貴さん!あんたはもう立派な先生だよ!

他に例を見ないほどの身体障害を背負って,日々の生活と受験勉強を乗り越えてきました。

私たちはその姿から学べるものが極めて多く,ここにささやかですが,紗貴さんの記録を記しました。

学ぶチカラと意欲はどんな人にも劣りませんし,誰も奪えません。

きっと,紗貴さんは着実に夢を叶えていくことでしょう。

これから,どんな人生が待っているのか楽しみですね。

私たちは,これからも紗貴さんを応援し続けます。

ちなみに,本番試験ではこのような環境で解答したとのことです。

本番試験の解答環境(紗貴さん作成)

できる限りの最大限の配慮を受けることができたのも,紗貴さんの熱意によるものでしょう。

教育委員会を動かしたのです。

おお,若干23歳で,もう世の中を変えつつあるのですね。

バイブル発見
支援機器はデザインも大事!


ゆりなさんの心は自由に羽ばたく!~周囲からの「哀れみ」を乗り越えて~

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おじさんたちととの写真(筆者は右端)

2019年7月13日,マジカルトイボックス第48回イベントの講師を仰せつかっておりましたので,はりきってお話してきました。

講演の相棒は小学校1年生の古川ゆりなさん。

ゆりなさんは先天性ミオパチーという,全身の筋力が低下する難病を抱えています。

様々なタイプがありますが,全国に3,000-5,000人程度がいるとのこと。

残念ですが,同病の多くの子どもたちは,ただ天井を見つめながら過ごしていると思われます。。。

さくら会ミニセミナー(左:川口有美子さん 右:筆者)

今回の相棒役は,先月のさくら会ミニセミナーに引き続き2回目!

やはり,多くの人にゆりなさんを見てもらうことが,ゆりなさんにとっても参加者のみなさんにとっても,すばらしい機会になると確信したのです。

やや急な依頼だったのですが,私単独ではなく相棒として参加をお願いしました。

2018年7月にはじめて会いました!

一見すると,いかにも呼吸器をつけた子どもといった感じで,すれ違う多くの人にとっては「かわいそう」「頭はちゃんとしてるの?」などと思うに違いありません。

そう口に出さなくても,自分と同等の知的能力があるだろうなんて,ちっとも思っていないでしょう。

Z会の問題集

でも,ゆりなさんは,小学校入学前にすでに小学校1年生の算数を終えているのです。ご家族の継続的な教育の賜物です。

そこに至るまでの苦労は多かったようで,お母さんのこんな言葉が印象的でした。

自宅での学習中,訪問看護師からは,哀れむような目で見られていました。

多分,こんな学習はやってもムダだろうけど,お母さん頑張ってるし,見守ろうというような。。。

ゆりなママ
自作のバランサーを駆使してペンも使えます

ママさんは,周囲からの哀れみの目にめげずに,ゆりなさんを信じて様々な経験を積ませました。

ご家族の日々の努力の甲斐もあって,ひらがなの学習もバッチリ。

今ではタブレットを駆使してあいさつや会話も可能です。

以下には,イベント当日のスライド(古川家作)を使わせてもらい,スーパー呼吸器少女のゆりなさんを紹介いたします。

きっと,同じ悩みを持つ方の参考になるでしょう。

同病の多くの子どもは,入院したままの生活を送っているのではないでしょうか。

その環境では,医療的ケアのみが淡々と行われるのみで,コミュニケーションスキルを磨くこともできず。。。

そんな様子は,全国の「こども病院」でよく見られる光景です。

その点,ゆりなさんは早い段階で自宅に戻ることができたのはラッキーと言えるでしょう。

伝わらないことが続けば,伝えることを諦めてしまう。。。

いわゆる学習性無気力という状態になってしまいます。

ゆりなさんの家族は, アナログな方法からタブレット等のICTを活用した方法まで,できることをすべてやりました。

そのパワーはすごいものです。

ゆりなさんも舞台に登壇!

ご家族のすばらしい工夫によって,ゆりなさんの生活環境をどんどん改善していきました。

まず特筆すべきなのは,自作スプリングバランサー!

まだまだ小さな軽い腕ということもあり,ゴム紐でうまくバランスできています。

もしこれが無ければ,ゆりなさんのコミュニケーション環境は大きく違ったものになっていたことでしょう。

この動画を見れば一目瞭然!

あいさつが相手にしっかり伝わるようになると,相手の反応もかわってきます。

さらに,一方通行のコミュニケーションではなく,双方向のコミュニケーションを獲得することで,ゆりなさんの言葉は見違えるように増えていったといいます。

たとえ機械を使ったコミュニケーションでも,きちんとフィードバックのあるコミュニケーション環境は人間を大きく成長させます。

それはどんな人も同じ。

知的障害があろうとなかろうと。

その点において「機械は冷たい」と避けるのではなく,身体機能を代替するものであれば積極的に使うべきであることは確かでしょう。

しかしながら,支援学校等ではその活用は十分ではありません。

現在,ゆりなさんはタブレットを活用して,シンボルや文字入力をはじめとして,AIスピーカーを使った環境制御まで行えるようになっています。

AIスピーカーは日々進化していますので,今後の機能アップによっては,重度障害者の生活に不可欠なものとなるかもしれません。

AIスピーカーをドロップトークや指伝話を使ってコントロールしており,ここでは当日の予定や現在時刻を確認したりしています。

ほう,小学校1年生でここまでできるのですね。

AIスピーカーは,重度障害者にとっては大変便利なものです。

スマートリモコンと連動させればエアコンや室内灯をコントロールすることができます。

赤外線のリモコンが付いている家電ならすべてコントロールできるので,ゆりなさんのようにあまり動けない子どもでも,家の中で役割を持つこともできます。

この動画の撮影時,幼稚園年長さんの5歳半でした。この歳なら,操作方法がきちんと確保されていれば十分できるのです。他の子どもでも同じことでしょう。

テレビはどうしても一方的に観せられるだけになりがちですが,スマートリモコンをうまく使えば,録画した番組を自分で選ぶことも可能になります。

もちろん,自分でチャンネルを変えることも録画することもできます。

自宅ではテレビを見る時間は多いでしょうから,自分でテレビを操作できる環境は意外と重要です。

大人の重度障害者などでも同様ですね。

AIスピーカーで多少の会話ができるとしても,しょせん相手は機械です。

本当のコミュニケーションの楽しさは,相手が人であってこそ。

そんなことは当たり前ですが,重度障害者だとそれさえも叶わないことがあります。

やはりここはテクノロジーを活用するのがセオリーでしょう。

適切な操作方法が確立すれば,ディスプレイの向こうには無限の可能性があります。

ゆりなさんの場合,自作スプリングバランサーと厳選したスタイラスペンでした。

これらを使うことで,タブレット操作を自由に行えるようになったのです。

これで離れた人とのコミュニケーションも,当たり前のように可能になります。

普段,ゆりなさんのまわりには大人が多いので,同世代の子どもとの交流はとても大事でしょう。

それが離れた人であっても。

ゆりなさんは,LINEを積極的に活用してコミュニケーションスキルを日々磨いているようです。

インカメラでこっそり写真を撮ることも(^^)

子どもはイタズラが大好き。

イタズラができる環境があるというのは素晴らしい!

創作活動も旺盛ですね。

独特のフォントは,これはこれでオリジナリティーの高いものとなります。

でもほんと上手に文字を書きますね。

今後は絵画や書道もできそうです。

現在のテクノロジーを活用することで,つい20年前では夢物語だったことが簡単にできるようになりました。

障害者支援の視点に立つと,20年前ならどんな支援機器も適合できない身体障害であったも,今なら使える可能性が十分にあるのです。

視線入力システムやタブレット端末などはその好例でしょう。

そして,これからもテクノロジーは進化します。

しかし,それらが使えるかどうかは,まわりの人が当事者の可能性を信じられるかどうかにかかっています。

こんなにも豊かな心を持ったゆりなさん。

テクノロジーをうまく活用できたからこそ表現できました。

しかし,残念なこともあるのです。

これだけのスキルがあっても,ゆりなさんの支援学校(養護学校)ではうまく活用できていないという現実。。。

タブレットの活用など,比較的新しい方法については,支援学校教諭のスキルが当事者に追いついていないのです。

全国的な問題ではあるものの,これはあえて,教員らの怠惰と言うべきでしょう。

子どもにとってこれだけ有用であり,かつ人生に渡って必須であるとも言えるのに,そう難しいものでもない機器を使えない&使わないというのは,怠惰以外に何と言えるのでしょうか。

小学校1年生幼稚園の年長さん(5歳半)が使える機器を大人の教員が使えないとは,どんな理由を持ってきても言い訳にはできないと思うのです。

機器を使いこなして生き生きとしたゆりなさんの姿を見れば「ちょっとデジタルは苦手で~」とは言えないはずなのです。

最後に,ゆりなママと私からの一言。

どんなに重い障害のある子どもでも,就学した以上は教員こそがその子の可能性を信じて,この世の中で最適と思われる支援方法で能力を伸ばしていって欲しいものです。

【熊本⇔松江】橋本紗貴さんの松江出張&民泊体験2018

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フリーのテレビディレクターである千葉佳史さんのご厚意により,先日教員採用試験を受けたばかりの橋本紗貴さんのビデオクリップをいただきました。

このビデオクリップは,紗貴さんが,2018年7月に島根大学で開催された「<重度障害者を支援する>実践者のための視線&スイッチ入力のシンポジウム in 出雲国」に講師として参加した際のものです。

千葉さんは,このイベント中,撮影と同時にヘルパー的役割もこなしてくれました。この場を借りて感謝申し上げます!

イベント前夜の交流会(千葉さん撮影)
島根大学の学食にて(奥に中村さん、左にミサヲさん、右に紗貴さん)

この時は,松江市内で独居する障害者宅で民泊しました。CIL松江を主催する中村宏子さんとSMA1型の三好史子さん(オリヒメパイロット)のお宅でした。

中村さん三好とも,重度訪問介護のヘルパーを活用して独居しています。

いずれ紗貴さんも同様の方法で独居するようになるだろうと思い民泊プランを練りました。 三好さんは,紗貴さんと年齢も近いこともあり,気楽にお泊りできそうですし。

最終日に軽く打ち上げ~(三好さん宅)

なお,岩手から講師として参加した板倉ミサヲさん(当時77歳の女子高生)も民泊プランに参加。ミサヲさん、一人暮らしが夢ですからね。

熊本の紗貴(左)、岩手のミサヲ(右)
ミサヲさんサイボーグ化

松江出張については,紗貴さん自身が報告してくれています。以下に,リンクを貼っておきます。紗貴さんのブログ「重複障害者である私の日常」より17エントリー!

松江堀川めぐり
松江城の石垣の下で
松江城で長井くんといい感じ
島根大学の障害学生支援室にて

【前編】とある支援学校による上肢不自由生徒への「神宿題」、これでいいの?

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iPad使用歴7年のミサヲさん

BC3,000年あたりとされるパピルス紙の発明以来,人類は紙の利便性を享受してきました。それから約5,000年たった今でも,主に情報の伝達手段として紙の利便性は失われてはいません。

ただ,今の時代は紙に代わる手段として,液晶や有機ELディスプレイが大いに幅を利かせています。

紙なら何十kgにもなる「情報量」であっても,ディスプレイに表示させればたった数百gの携帯端末に格納でき,かつ再編集も可能です。さらには,離れた人ととも状況共有も簡単です。

紙は紙のよさはあるものの,デジタル端末で情報を活用することのメリットは,今の時代では捨てがたいものがあります。

特に,障害者にとってはなおさらです。

視覚障害者は,点字文化の延長で比較的古くからデジタル化した文字情報を扱ってきました。

また,上肢障害者においては,本を保持できない,ページをめくれないなどの困難があっても,デジタル端末により代替方法が多く用意されています。

そして,学校現場でもデジタル教科書の普及が進んでいます。

生まれてはじめての義務教育を受けて、中等部卒業!

ところで,岩手県在住の板倉ミサヲさんは現在77歳で,4歳のころから四肢不自由です。今年,支援学校の中等部を経て,高等部を卒業しました。

60歳を超えたあたりから携帯電話・パソコンやタブレット端末を使うようになり生活が一変しました。詳しくは以下のブログ記事にある雑誌「はげみ」のPDFをご覧ください。

77歳の元女子高校生が使うシンプルテクノロジーとある教員の特別支援教育研究ノート

ミサヲさんは,中等部入学前からiPadを生活に生かしていました。

しかし,入学してみれば,肢体不自由の学校にも関わらず,紙の教科書しか用意されませんでした。

これでは自分で教科書を開くことができませんし,授業中もページをめくることさえままなりません。

ミサヲさんは手足が不自由なこともあり,口に棒をくわえてさまざまな作業をこなすことができます。その技術を使って,パソコン・携帯電話やiPadなどもサクサクと使いこなしていたのに関わらず。。。

口でなんでもこなします

肢体不自由を専門とする学校であれば,当時すでに普及していたiPadなどを活用して,生徒自身で自由に教科を使える環境を用意するのは,ごくごく当然ではないでしょうか。

少なくともミサヲさんや私はそう思いました。

入学の日。あれ~、紙の教科書だけ??
まあ、これで読めるのですが。。。なんか違う。

教科書さえデジタル化されていれば,自分のiPadに入れて予習も復習も自由自在です。

もし,宿題があってもiPadに入れてもらえば,他の生徒と同じようにバリバリこなすことができるのです。

麻雀は得意です

まあ,編み物から麻雀まで,口でくわえた棒で難なくこなすほどのミサヲさんですから,もう何でもできます。

このスキルを生かさない手はないはずなのですが。

でも,ミサヲさんの通った支援学校ではそうではありませんでした。

後編へ

編み物が趣味です

【後編】とある支援学校による上肢不自由生徒への「神宿題」、これでいいの?

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ミサヲさん

前編へ

ミサヲさんの教科書が普通の紙のものだったのは大変ガッカリしましたが,支援学校の言い分もわからないでもありません。

これまで,全国各地の支援学校・養護学校の方とお話しした中では「できない理由」はこんな内容に大別されます。

ミサヲさんの例に当てはめるとこんな感じ。

  • 「予算がない!」問題
    • 教科書のデジタル版は高額なので用意できない
    • iPadを提供したいが高額なので用意できない
  • 「時間がない!」問題
    • 教員が忙しくて教科書をデジタル化する余裕がない
  • 「特別扱いできない!」問題
    • ミサヲさんにデジタル化すると全員にするハメになる
    • とくにかくミサヲさんにだけ特別な配慮はできない
    • 「やる平等」より「やらない平等」
  • 「ICTがよくわからない!」問題
    • iPadの使い方がよくわからない
    • デジタル化する方法がよくわからない
    • デジタル化?何それ?
  • その他
    • 教科書は教員が持てばいい
    • 教科書は教員が読んであげる
    • ミサヲさんはiPad使えるの??

たいていの理由は,言い訳にもならない問題。

だって,支援学校は普通学校に比べて大変な予算を使っているのです。ほとんどは人件費でしょう。

やはり,看過できないのは「教員が忙しい」という理由。

ミサヲさんも,教員からは「忙しい」が理由でデジタル化がなされなかったといいます。

同じ出展から,生徒数と特別支援教育を本務とする教員数を見てみると,ざっくり,支援学校全体で教員一人あたり1.7人の生徒。肢体不自由に限ってみれば,1.1人。

生徒の教育が第一かつ受け持ちの生徒の数は少ないはずなのに,その準備に時間が取れないというのは,教育者としてまったくもって本末転倒。

上記の学校教育費をみても,「時間がない」は,何か無駄なことか,本来重要ではないことに時間が取られての発言としか考えられません。

「学校」において,生徒の授業以上に優先順位が高いものなどあるのでしょうか。

もしあるとしたら,支援学校は「学校」ではないのです。「子ども一時預かり所」の域を出ないということになります。普通校とは比較にならないくらいに,生徒当たりの教員数が多いというのに。

ミサヲさんの教科書のデジタル化では,中等部1年生の教科書については,学校がまったく対応する気配がないので,私がすべてデジタル化(自炊)しました。

2年生はのときは,ごく一部の教科書のみ,しかも数ヶ月も遅れてデジタル化されました。。。。

ミサヲさんは,全部の教科書を読みたかったのに(もちろん,本人談)。

もはやこんな状態(T_T)

数時間でできることをやらないというのは,もはや理由がわかりません。

60数年越しの学校を楽しみにしている生徒に対して,これでいいのでしょうか。

教科書を裁断してスキャン
裁断機が一番かさばりますね

教科書のデジタル化は,裁断機とスキャナがあれば,そう難しい作業ではありません。

スキャンしたデータをPDFにして,iPadにコピーしてあげれば自作のデジタル教科書のできあがり!

さて,記事タイトルの「神宿題」とは?

そう,「紙の宿題」のことです。

昨今「神エクセル」は,お役所などで見かけるエクセルファイルに批判が集まっています。私も大学の神エクセルに参っているひとり。

本来エクセルはデータ管理を目的としたアプリケーション。でも,見た目上の「様式」を作るために,セルを無駄に結合したり罫線を引いたりして,データの再利用を不可能にするのは愚の骨頂。

役所などでは「パソコンに強い」という人が,平気で「神エクセル」に手を染めている例があると思われます。

授業中にちょっと訪問

余談はさておき,「神宿題」。

なぜ紙で?ミサヲさんも困った表情

私はまたまた驚いたのです。

夏の日差しの強いある日,ふとミサヲさんを訪ねたら,ずっしりとした紙の宿題を渡されていたからです。

『夏休みの宿題 国語』はけっこうな分量で,すべて手書きが前提のようでした。名前の欄は大きいものの,明らかに手書きすることが求められています。

代理で記入することを前提にして宿題を出したのでしょうか。

宿題というのは,自力でやることに意味があると思うのですが,障害者の場合は手伝ってもらうのが当たり前なのでしょうか。

もっと言えば,ミサヲさんは自力でできる環境を持っているのに,なぜそれを活用するという,どう考えても真っ当なことに気付かなかったのでしょうか。

障害児教育のプロであるはずの支援学校教員なのに!

ミサヲさんは何とか鉛筆を加えて書いていましたが,これでは問題を解答する前に疲れてしまいます。そもそも,ページもめくれませんが。

こんなのを自力でどうしろと。困ったミサヲさん。

たかが夏休みの宿題ではありますが,ICTの知識&活用の無さ以前に,この思いやりのないスタンスに腹立たしささえ覚えます。

おそらくは,この教諭の教育活動は,全般に渡ってこのような「教員中心」の視点で展開しているのでしょう。

つまり, 障害のある生徒の個別性を十分に考慮せずに, 教員にとってやりやすい授業を漫然と行っていると想像できるのです。

この教諭だけだと思いたいところですが,当該校では同様のケースが散見されます。

少なくともこの学校では,障害のある生徒に対して,仮に対応策のある事例であっても,踏み込んだ支援などは十分に行われていない可能性が極めて高いです。

ちなみに,私から当該教諭に「この紙の宿題ではミサヲさんは自力でできません」と伝えると「そう言えばそうでしたね~。冬までに勉強しておきます。」とのことでした。

はい,すぐに辞職しなさい。給料(税金)もらう価値なし!ボーナスなんてもってのほか!

GoogleドキュメントやWordを使えば,きっと次の日には用意できて,かつ訪問せずともミサヲさんに提供でたはずなのです。

うーん,支援学校というのは不思議なものです。

教育サービス組織として,これはぜったいにおかしい。もし民間組織ならとっくに廃業を迫られれるケースです。

解答は誰かに手伝ってもらう以外ありません

とはいえ,この支援学校に行ってよかったこともあったようです。

ミサヲさんの入所施設の壁新聞

修学旅行などはそのいい例です。60歳も年下の同級生とのディズニーランド。楽しそうです(^^)

頻繁に更新される壁新聞はいかにも「学校」らしてくて楽しいです

今年(2019年),ミサヲさんは無事に高等部を卒業\(^o^)/

しかし,卒業式後にまたビックリが。。。

2年近く前に就学奨励費で購入したiPad Air が「返却」されたのです。

ミサヲさんは訪問教育の生徒。

就学奨励費は,学校が関わるものの個人に支給されるものですから,所有権は個人にあると考えられます。

通学している生徒であれば,学校に保管されていてもいいのかもしれません。しかし,ミサヲさんは訪問教育の生徒。担当教員が毎回持参していたわけでもありません。

結局,当時最新のiPadでしたが,2年間でほんの数回しか使わなかったそうです。「返却」時には型落ちに。。。

生活に生かしてこそのICT支援機器。

使ってなんぼのiPadを大事に大事に学校に保管してどんな意味があるのでしょうか。

生徒が壊さないようにとの配慮だとしても,使えなかったら意味がまったく意味がありません。だったら,使い倒して壊したほうが100倍マシな訳です。

人生でかけがえのない経験が得られた6年間の学校体験でしたが,「就学」においては,ミサヲさんには不満がたくさんあるのも事実。

ミサヲさんによると「あんまり勉強させてもらえなかったな」とのこと。

これからミサヲさんと一緒に問題点を整理して,解決方法なども探っていきたいと考えています。

これから,少しでも被害者を出さないために。

「神宿題」の出ない学校になってもらうために。

入所施設内のミサヲさんコーナー

《自然の囁き】
そよ風 ソヨソヨ ささやいた。
みんな芽を覚まし
あっちの木 こっちの花が
色とりどりの 着物着て
花見をしながら大喜び。

太陽 ギラギラ 光ってる
広い海めがけ
青い空 白い波と
色とりどりの 珊瑚礁
魚が飛びつき大喜び

北風ピューピュー吹いてきた
山がささやいた
かえでの葉 もみじの葉が
色とりどりの 化粧して
太鼓に合わせて大喜び

雪が ドンドン 降ってきた
森がつぶやいた
あっちの木 こっちの山が
白いパジャマに 着替えして
素敵な夢見て春を待つ

板倉ミサヲ
出会いはいろいろありました
女子高生としての3年間(^^)
番田くん(ストレッチャー)も支援学校にはキレていたひとり

【祝・受賞】地方の支援学校教諭でもここまでデキる!

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第66回小児保健協会学術集会にて,共同研究者の支援学校教諭(43歳・女性)が「若手奨励賞」を受賞しました。

200を超える演題の中,10件ちょっとの受賞だったようです。それなりの倍率ですね。

受賞した支援学校教諭のブログは以下。

スライドトップ
たいへんレアな支援学校教諭による発表

当該学術集会は,医師をはじめ医療関係者が多く参加しており,学士相当の教諭はごく一部と思われます。

43歳でも「若手」ということから,集会の参加者層がわかります。つまり,医師はもちろん博士号を持った看護師等の参加者が多いのでしょう。

その状況で,支援学校教諭の研究が受賞したというのは大きな成果と言えます。

口頭発表
さまざまな視点でデータを分析

勝因は,研究デザインはさることながら,地道に取得した結果データをもとに,客観的な視点で分析して考察を記したことにあります。おそらく。

環境データを取りながらの地道なデータ収集

データの収集は,ただ取ればいいというものではありません。条件を揃えつつ周期的に採取し,十分な量のデータセットとして集計できる必要があります。

教諭だけが集まる「研究大会」にあるような,アンケートや主観の多い取り組みでは,今回のような評価は受けられなかったに違いありません。

抄録

たいへん泥臭い話ですが,客観的な分析には,エクセルのスキルが欠かせません。

今回,当該教諭にはごくごく基礎からエクセルを学んでもらい,さらには基本的な統計処理について勉強してもらいました。

ちょっとおかしな話ですが,このあたりのレクチャーが私の共同研究者としての仕事。

エクセルとの戦い

受賞することを目的としてもいけませんが,せっかくやった研究は,研究協力者(被験者)のためにも,しっかり分析して外部からの評価を受けることも重要かと思います。

研究を続けるモチベーションにもなりますし,評価を足がかりに研究費を取得しやすくなります。さらには,あらたな共同研究者と出会える可能性が高まります。

今回の結果をもって地方の一教諭でも,きちんとした学会でも受賞できることが証明できました。

これからも,教諭だけの集まる研究大会にとどまらず,研究ド真ん中の世界にも挑戦してほしいものです。

きっと,その結果が特別支援教育の底上げにつながると信じています。

まさかの受賞でした
大きな学術集会でした

【視線入力勉強会】岩手県一関市で開催される「キーマの会」に参加します(2019年7月30日)

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「キーマの会」とは,岩手県は一関市に住む三浦りんさんのご自宅を会場に,支援機器等の情報交換や体験会を行う小さな交流会です。

毎回,三浦かおるさんお手製のキーマカレーが振る舞われますので,勝手に「キーマの会」と名付けています。集合時間はいつも夕食時(*^^*)

りんさんは言葉は話せませんが,みんなと一緒のものが食べられますし,何しろ笑顔がいい。場の雰囲気を明るくしてくれるので,私はついつい何度も訪問しています。

まさに,りんさんがつないだご縁!

第3回の模様の映像(千葉佳史さん制作)

美人ママ登場!

私にとって,美人ママの存在は欠かせません。

第3回(2019年5月21日)

直近の開催は第3回。もう2ヶ月前かあ。。。

ほぼはじめての視線入力にもかかわらず,サクッと操作できてしまったいつきさん。部屋を暗くして集中!

岩手県内で校長先生をやっているダンディーなお父さんも参加。これを期に,日常生活用具の制度で視線入力装置を揃える予定だそうです。

しかし,いつきさん,通っている支援学校では,スイッチ操作も視線入力も取り組んでいないんですよね。。。こんなにデキるのに!

この日は,るんびにい美術館の方2名も参加!千葉佳史さんのご紹介です。この日このご縁をいただいて,つい先日,今年最高の感動を得ることができました。

ところで,この度,三浦りんさんのママである三浦かおるさんの仲間たちが,NPO法人くるりんさんを設立しました。

今回,くるりんの主催で,以下の概要で「視線入力勉強会」を行います。もちろん,私も参加!

日 時:2019年7月30日(火)16時から
場 所:一関市立中里市民センター すこやか交流館交流室
参加費:500円(お菓子代)

プログラム(予定)
・支援機器の基礎 講師:伊藤史人(島根大学)
・視線入力体験会
・質疑応答 講師:菊池直実(一関市清明支援学校)・伊藤史人
・交流会

主催:NPO法人くるりん

参加者は,主催者により当事者数名がすでに決まっています。会場の都合などもありますので,ポランの広場では以下のように募集いたします。

支援者:3名程度
    *重度障害児支援に関心のある方
    *コメディカル・保護者・施設スタッフ・教諭など
当事者:2名程度
    *重度障害児(知的障害の有無を問いません)
    *SMA・レット症候群・脳血管障害・筋ジス など

申込先:こちらから連絡してください
    *お名前欄:必ず記入してください
    *件名欄:視線入力勉強会(一関市)
    *メッセージ欄:所属・質問を明記

第0回(2018年12月10日)
第0回はニュース番組になりました

これまで,私が参加するものとしては3回開催。第0回は,NHKの取材対応での訪問でした。

第1回(2019年2月4日)

いつも思いつきの開催で,第1回は地元のコメディカルなどを中心に集まりました。レギュラーは,一歩(いっぽ)さん と りんさん。

この時は,視線入力の他に簡易脳波計「こころかさね」なども使いました。一歩さんのこころの様子が垣間見られたような気がしました。

第2回(2019年4月19日)

抱っこスピーカーで話題の,エンサウンド代表である発明家の菅さん登場!新作のスピーカーを持参してきました。

地元の清明支援学校からは,菊池直実さんが急きょ参加して,ストレス推定のできるニプロ社製アミラーゼモニターを実演してくれました。

初参加のイケメン男子は,ずいぶん上手に視線入力をこなしてくれました。これからに期待ですね!

そして,最後に。

三浦家の短いドキュメントです!

めんこいテレビ「難病の少女を見守る 母が迎えた春」

【第1部 3人の障害者とAT】ビデオ教材:アシスティブテクノロジーを通して重複障害者の生活を向上させる(日本語訳版)

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はじめに

すべての障害者支援(医療・療育・教育や福祉工学など)に関わる人には必見のビデオ教材です。

ここで紹介するビデオ教材は,ロサンゼルス在住の山田香苗さんが中心になって制作しました。

山田さんとは2017年の3月,ロサンゼルスに行った際にお会いしたことがありました。実子のマイケルさんが重複障害者です。

このビデオには,山田さんがマイケルさんの幼いうちから,アシスティブテクノロジー(AT)を活用してきた経験が凝縮されています。

タイトルはズバリ Improving the Lives of Individuals with Complex Disabilities through Assistive Technology(アシスティブテクノロジーを通して重複障害者の生活を向上させる)。

以下,山田さんのコメントです。

(山田さんのメールより)

障害者支援のリーダーシップトレーニングUSC-UCEDD*)で製作したビデオ教材です。

アシスティブテクノロジーを使うことで重篤な人も健康や生活を向 上させることができるという内容で、私が訴えたかったのは周りの意識が前向きになれば変わるのだとい うことです。

ビデオではうちの和宗(Michael)と、カイくんともう一人Rettの女の子の例をあげて、 専門家のインタビューによって、いかにATが必要か、 役に立つのかを説明しています。

最後に、 重度の障がいを持っていても社会に他の人たちに貢献できると言語療法士が伝え、さあ、私たちに何ができるか考えよう、 というメッセージを残しています。

USC-UCEDD: USC University Center of Excellence in Developmental Disabilities at Children’s Hospital Los Angeles

山田香苗さん

ここから,3部構成のストーリーボード(山田さん提供)を掲載します。

ビデオには日本語のナレーションはありませんので,日本語のストーリーボードと照らし合わせてご覧いただければと思います。

重要な視点・情報や気付きがたくさん散りばめられています!

(補足)には,参考情報や関連するサイトなども追記しました。


第1部 3人の障害者とAT

アシスティブテクノロジーを通して重複障害者の生活を向上させる

マイケル(0:04 – 2:58)

医者たちが口を揃えて言ったことは,

「彼が普通の生活を送れる可能性はゼロである」

ということでした。

これは私の息子,マイケル26歳です。

2歳の時,プールの溺水事故で重度の脳障害を負いました。

知的な障害を含め,てんかんや四肢麻痺の障害となりました。

そして,胃瘻チューブ・気管切開も。

「彼は生涯植物状態で他になすすべはない」

と言われたのです。

そのような状態でも3歳になると,法律により学校へ行けるようになりました。

しかし,彼にとって学校で学ぶことは容易なものではありませんでした。

学校から言われたのは

「彼のような障害のひどい生徒には学べるものがなく,
コミュニケーションを教えるなど全く無駄である」

ということでした。

(補足)

専門家が当事者やその家族を絶望させてはなりません。

しかし,日本においても多くの当事者やその家族がその「洗礼」を受ける事態が発生しています。

テクノロジーは進歩しています。今は難しくても今後可能になることもたくさんあるのです。

たとえば,20年前に生まれた重度障害の子どもがいるとします。現在,視線入力やタブレットでLINEをしている姿を,20年前に誰が想像できたでしょうか?

20年前には,今でいう視線入力装置もiPadのようなタブレットもなかったわけです。LINEのような手軽なアプリも。

小学3年生の女の子でも視線入力でここまでできる!」では,人工呼吸器を付けたSMA1型の女の子が視線入力で学習やコミュニケーションに利用している例をあげています。

世の中に支援機器があっても,支援者の問題で適用できない例で溢れているのが現状。

これは人権侵害とも言えるのではないでしょうか?

伊藤史人

私は自分でコミュニケーション用のスイッチを購入し,音楽を吹き込んだテープレコーダーにつなげ,音楽をつけたり消したりする練習をさせました。

「スイッチを入れれば音楽が鳴る」という原因と結果のコンセプト(スイッチの因果関係)を学ばせるためです。

そして,マイケルは学校の教員にスイッチを使って何かができるということを証明し,やっとコミュニケーションの査定を受けることができました。

学校に行き始めて9年が経っていました。彼は12歳でした。

このようなスイッチをアシスティブテクノロジー,略してATと言います。

(補足)

病院や学校の専門家に対して,子どもの可能性を説得するのに苦労するのはアメリカも日本も同様のようです。

が,本来はおかしなことです。

専門家は,障害児に寄り添って可能性を強く信じなければなりません。

テクノロジーの進化により,「実はわかっている」ということが証明しやすくなってきましたが,これは根気強く関わってこそ。

専門家による本当の支援は,これまでの常識だけにとらわれず,目の前の一個人の可能性を信じることからはじまります。

陽菜さんの意思伝達環境(SMA1型女児の場合)」では,スイッチを使いこなして3つの機器を同時使用している例をあげています。

残念ながら,この環境の構築に支援学校は力及ばずだったようです。

お母さまや周辺の支援者が彼女を信じて素晴らしい環境を作り上げました。
 

伊藤史人

ATとは体の機能を助ける補助器具のことで,車椅子,補聴器,VOCA(ボカ)と呼ばれる音声出力会話補助装置,またこのようなスイッチも補助器具の一つです。

(補足)

支援機器にはさまざまなモノがあります。近年の傾向としては,iPad やタブレットPCなどの汎用品に置き換わっているといえます。

小型の汎用マイコンを使ったモノも登場しています。

なお,スイッチの適合については体のことがよくわかっている理学療法士や作業療法士と一緒に取り組くむのがいいでしょう。

同じでスイッチでも,使えるか使えないかは適合次第になるためです。

スイッチ適合についてはこちらの情報が参考になるでしょう。

重度障害者用意思伝達装置操作スイッチ 適合マニュアル(日向野和夫)

マイスイッチ(ホームページ管理者:松尾光晴)

伊藤史人

言葉を使って話すことに代わるコミュニケーション方法をAAC(拡大代替コミュニケーション)と言います。

マイケルは口を動かすことでイエス,口を動かさないことでノーを表現します。

そしてVOCAを使って簡単な言葉を伝えます。

このようにスイッチをブレンダー(ミキサー)につなげ,マイケルは自分のスムージーを作ります。

これは彼の日課であり家での仕事になっています。

また,スイッチを特別に作られた太鼓につなげ,音楽療法士と一緒に演奏することを楽しむこともできます。

(補足)

支援者(療法士や教員などの専門家を含む)は当事者の生活をよく知っていなければなりません。

生活の中にすべてのヒントがあります。生活を知らなければ,何に興味があるのか・何ができたらいいのか・毎日の日課を何に設定したらいいのか,さらには家族の状況や家族の中での当事者の立場もわかりません。

病院や学校では本当の姿は何もわからないものです。

伊藤史人
(補足動画) ゆりなさん(小1・先天性ミオパチー)によるドロップトークを使ったあいさつ。
VOCAは高機能化して,iPadのアプリとしてよく使われています 。

リサ・ジョイ(2:59 – 4:23)

これはリサジョイ,レット症候群を持つ28歳の女性です。彼女は視線入力,つまり目を動かすことでコミュニケーションをします。

(補足)

「視線入力」とありますが,ここでは人間が視線検出器となっています。

同様に,透明文字盤なども視線コミュニケーションの一種といえるでしょう。

近年は,ローコスト視線入力装置の普及が進みはじめました。

ただし,視線入力装置はまだまだ未熟な機器ですので,すべての人がすぐに使えるというものではありません。

きちんと使うには,支援者と当事者にそれなりの習熟や訓練が要求されます。

視線入力装置の導入については以下を参考にしてみてください。

ここでおさらい「視線入力環境の導入フロー」

ローコスト視線入力装置「Tobii 4C EyeTracker」のインストール&初期設定方法

伊藤史人

帰ってきたら,「今日はMJに会ったか」「アダムに会ったか」を聞きます。

この本にある絵カードを使って「何が飲みたいか」「テレビを見るか」などを表現します。

「歯磨きはしてもらった?」

「散歩に行くか」「本を読むか」を聞いています。

どちらもしたいようで,迷ってますね。

絵カードを持ち替えて聞きます。

散歩に行くか,本を読むか,本を読むカードをずっと見つめていますね。

本を読むことに決めたようです。

他にもリサジョイは, iPad に入っている物語を読んだり,これを使ってイエス・ノー や,食べたいものを表現したりします。

(補足)

iPad のスイッチコントロール機能を使えばより客観的な意思表出方法として活用できるでしょう。

スイッチを使うということはスイッチ適合が必須です。

体のことがよくわかっている理学療法士や作業療法士と連携して実施しましょう。

ひとりの教員だけでトライしても失敗ばかりになってしまい,子どもの意欲を奪ってしまいます。

特別支援教育での iPad 利用というと,アプリやスイッチコントロール機能自体が注目されてしまいますが,実際にはスイッチ適合が何よりも重要になります。

重度障害者用意思伝達装置操作スイッチ 適合マニュアル(日向野和夫)

マイスイッチ(ホームページ管理者:松尾光晴)

伊藤史人

カイ(4:24 – 5:50)

これはカイ,10歳です。

カイは子供専用の施設に住んでいます。

5歳の時に脳卒中になり重度の障害を負いました。

脳神経の医者からは

「一生人工呼吸器をつけたまま,二度と目覚めることはない」

と言われました。

(補足)

専門家の見立ては,時に残酷で見事に誤ったものであったりします。

子どもの脳の可塑性と回復力は予測できません。

これまでの常識だけで判断することの危険性を,カイくんは身をもって証明してくれました。

最近のカイくんの映像はこちら。

180322Kai enjoyed EyeMoT3D game (Youtubeチャンネル: 174iamsam

KAIくんとEyeMoT (Youtubeチャンネル:Fumihito Ito

伊藤史人

彼はいつも舌を噛んで口から血を流していました。

その度に鎮静剤を投与されていました。

ところが,

本当は彼は何かを伝えたくて血が出るまで舌を噛んで人の注意を呼ぼうとしていたのです。

彼の理学療法士が最初に気づくまで1年もかかりました。

(誰も彼がそれほどはっきりした意識があると信じていなかったからです。)

今ではビッグマックというVOCAを使って人を呼ぶことができるようになりました。

スカイプを使って日本のおばあちゃんと歌を歌います。

今では理学療法士,作業療法士,言語療法士が一緒に働いて電動式の車椅子を持つという目標に向かって頑張っています。

(補足)

ビッグマック(VOCA機能付き)は日本でも購入できます。

VOCA機能のある機器はさまざまで,iPadやタブレットPCで代用することもできます。

ビッグマックリトルマック(パシフィックサプライ)

DropTalk HD(HMDT)

トーキングエイドシリーズ(U-PLUS)

伊藤史人

このように誰でも補助器具を使っておもちゃのロボットを動かしたり,活動に参加することができるのです。

(補足)新しい機器は支援者に知ってもらう必要があります

(第1部おわり)


【第2部 アシスティブテクノロジーと制度】ビデオ教材:アシスティブテクノロジーを通して重複障害者の生活を向上させる(日本語訳版)

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第2部 アシスティブテクノロジーと制度

アシスティブテクノロジーはどのように助けとなるのでしょう?

障害児の「健康」(5:51 – 6:59)

まず,2001年に世界保健機関が制定した国際生活機能分類,ICFを見てみましょう。

このフレームワークの図は人の健康状態を図るために使われます。

(補足)

ICFの概念は日本人には一見馴染みにくい部分もありますが,実によくデキたフレームワークを提供してくれています。

この図を見れば,現状の病院や学校では個人の「健康」のためのごくごく狭い一面しかサポートしていないことがわかります。

本来は,「健康」をゴールにしてすべてを考えなければなりません。

ICF(国際生活機能分類)とは?ICFの考え方からその活用法まで、分かりやすくご紹介します!(LITALICO)

ICFについて(文部科学省)

(補足) めんこいテレビ「視線入力の可能性に光 重い障がいの少女」2019年6月20日放送

カイ君は脳血管障害により障害を負いました。

それにより体が麻痺し,人工呼吸器を必要とします。

話をしたり,おもちゃを掴むこともできなくなりました。

その結果,人に気持ちや考えを伝えることができず,一人孤立した世界にいました。

しかし,ビッグマックのような意思伝達の支援機器を使う環境ができたことで,人とコミュニケーションができるようになり,進んでおもちゃで遊ぶようにもなりました。

活動能力が上がり,参加する機会が増え,そして孤立した世界から抜け出て健康状態も良くなりました。

(補足)

病気の治療や医療的ケアを中心とした処置だけでは本当の「健康」を目指すことはできません。

人間として本来切望している活動や社会参加,何よりも人間同士の関わりを増やすことが「健康」につながります。

ATはあくまでも道具にすぎませんが,ほんとうの「健康」を実現するためにはきわめて大切です。

それがなければ簡単な意思疎通さえできない人が数多くいるためです。

重度障害者であっても「健康」になれるのです。

スイッチをフル活用して元気に生活している女性を紹介します。

多彩!ワンスイッチによる Mac や iPhone の操作

伊藤史人
(補足) 多彩!ワンスイッチによる Mac や iPhone の操作

重度障害児の教育と法律(7:00 – 8:28)

では,法律の話をしましょう。

障害者教育法により,障害を持つ子供は無償で適切な公的教育を受ける権利が保障されています。

一人一人がそれぞれのニーズに応じた個別教育プログラムが作られます。

AT(アシスティブテクノロジー)の必要性も考慮されなければなりません。

しかしマイケルのコミュニケーション能力を学校が信じてくれるまで9年もかかりました。

(補足)

学校が信じてくれないというのは日本でも同様です。「パソコンが苦手」という教員や医療関係者を前にどれだけの人が絶望を感じてきたことでしょう。

この期におよんで「私、ICTが苦手なの~」といいますか?

この期におよんで「おもちゃ遊び」でお茶をにごしますか?

この期におよんで「予算がない!」といいますか?

伊藤史人

AT を含めた効果的な個別教育プログラムを作るために,親はAAC(拡大代替コミュニケーション)査定のリクエストをすることができます。

また,正式な査定を受けなくても試しに借りて使うこともできます。

そのようなサービスをしている学校区やリージョナルセンターがありますので先生やサービスコーディネーターに聞いてみてください。

もしも,ATのサービス提供を学校区が拒否したなら,中立な立場の第三者による査定を学校区の費用で行うよう要請できます。

セカンドオピニオンを聞けるということです。

法律の援助が必要ならDisability Rights Californiaが無料の相談にのります。

また,TASK(Team of Advocates for Special Kids)も法律に関しての相談にのります。

TASKにはアシスティブテクノロジーのセンターもあります。ぜひ試してみてください

(補足)

病院での治療のみならず,教育におけるATの適用についてもセカンドオピニオンが要求できるというのは興味深いです。

さすが合理的なアメリカといったところでしょうか。

日本では個人の裁量による部分が大きいものですが,個人への信用が低いアメリカにおいては制度によってサービスの質を保つ傾向があるのでしょう。

伊藤史人

(第2部おわり)

【第3部 専門家からのアドバイス】ビデオ教材:アシスティブテクノロジーを通して重複障害者の生活を向上させる(日本語訳版)

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AT/AACを使うとどんなことができる?(8:29 – 11:49)

では,専門家の話を聞きましょう。

最初にシャロンロジャース先生。

ロジャース先生は1952年から言語療法士をされています。

この20年間は言葉の出ないお子さんへのコミュニケーション療法をしています。

質問:AT/代替コミュニケーションは何歳ごろから始められますか?

回答:コミュニケーションは,かなり早い時期から始まっています。

赤ちゃんが泣く,抱き上げると泣き止む,それだけですでに社交的コミュニケーションなのです。

言葉がなくても,一緒にダンスしているような相互作用があるのです。

(補足)

「触れる」という行為は最高のコミュニケーション手段です。

今後,ATの分野でも触覚提示によるコミュニケーション機器の操作支援が広く行われていくはずです。

これまで,視覚・聴覚に依存した機器が多すぎました。

ハードウェアの限界によるものがほとんどでしたが,ハプティック技術の進化により,触覚フィードバックがたくさん使われるようになるでしょう。

アルプス電気に聞く「触覚のVR」の今(Mogura VR)

触感を電子技術で自在に創り出す時代が到来した(TELESCOPE)

出雲国スイッチ工房「バイブマンβ1」

質問:AT/AAC を使ってどんなサポートができるでしょうか?

回答:おそらく一人一人サポートの仕方は違うでしょう。

Universal Design of Learing によると,指紋がみんな違うように,それぞれの学び方も違うと言います。

なので,その子の特質や独自性を見ながら教える必要があります。

ダニース・マーラー先生です。特殊教育の教師であり,AT の専門家でもあります。約30年重複障害の生徒と関わっています。

質問:AT/AAC を使ってどんなサポートができるでしょうか?

回答:まず,何が分かっているか,知っているかなど,その子どもの基礎的な部分を理解し,どんなふうにコミュニケーションしようとするか知ることです。

新しい生徒が入ってくると,私は最初の2週間,オムツ替えからすべての世話をします。その間に色々話しかけます。

例えば,「あなたの膝を触るよ」といって鼻を触ってやります

それでどんな反応をするか見ます。

また,「膝を曲げてごらん」といってその子が膝を曲げたなら,「あは!わかってるじゃん!」そしてそこからスタートです。

常に問いかけながら反応を待ちます。

どんな問いかけにどんな風に反応したかをチャートにつけて,適切なコミュニケーション方法を見つけていきます。

デイル・アームストロング先生です。

理学療法士を30年されています。

神経障害の患者,特に重複障害を持つ子供を専門に診ています。

質問:AT/AAC を使ってどんなサポートができるでしょうか?

子供たちは動きや遊びなどの活動を通して学んで行きます。

活動することは他と関わる機会を増やし,参加する能力を高めます。

私は理学療法士として,体を支える機能や運動する機能を強化することで活動レベルが上がるよう,またそれによってコミュニケーション器具を効果的に使えるよう訓練をしています。

(補足)

「遊び」は子どもの脳を健全に成長させます。そういう意味では,動きにくい子どもに対しては,積極的に遊ぶ機会を外部から提供していく必要があります。できるだけ触覚とともに行う必要があるでしょう。

iPad の小さな画面に表示されただけでは「遊び」になりません。

たくさん触って・動いて・声をかけて脳をたくさん刺激しましょう。

スイッチや視線入力操作にも感覚統合がとても重要です。

「感覚統合」とは? 発達障害との関係、家庭や学校でできる手助けまとめ(LITALICO)

感覚統合療法(神奈川県総合リハビリテーションセンター)

発達障害児の療育方法。感覚統合療法、遊びで脳に刺激。TEACCHティーチで構造化。PECSペクス。ABA。言葉かけ。(発達障害・知的障害の特徴をチェック!)

親や他の専門家へのアドバイス(11:50 – 13:14)

質問:親や他の専門家へアドバイスをお願いします。

回答:まず,障害があるからと子供を過小評価しないことです。

彼らのできることには驚かされるでしょう。

コミュニケーションする機会を与えること。

コミュニケーションできるような環境をいつも作ってあげることです。

私は常に彼らの声や反応がとても大事だと感じられる環境を作っています。

「何か言いたいの?」とか,「ここに居たくないからそんな風に振る舞うの?」など常にその子の気持ちを考え代わりに言葉にしてあげてその子がどう反応するか見ます。

質問:親や他の専門家へアドバイスをお願いします。

回答:障害があってもまず最初に一人の人間としてその子を見ることが本当に重要です。

マイケルは障害を持っています。

「マイケルと言う名前の障害」ではないのです。

一人の人間として見ることで,その子にもある程度の機能レベルや理解力のレベルがあることがわかり,他とコミュニケーションする能力があるのだということに気づくでしょう。

まとめ(13:15 – 14:25)

重複障害を持つ子供たちは私たち健常者に多くの貢献をしてくれています。

「この子の親になってより素晴らしい人間になれた」と話す親御さんや「以前に見えていなかったものが見えるようになった」と言われる親御さんもいます。

筋ジストロフィーを持つジョエルという女の子がいます。

私はお世話されている看護師さんに「あなたは毎日新しいことを学んでいるでしょうね?」と聞いたら,

「そうですね,世界を6周回って全ての大学のコースを受け勉強したとしてもジョエルから学ぶこと以上に学べることはないでしょう,神様や人生について。」

と言われたのです。

このビデオを見ている方に知ってほしいことがあります。

重度の障害を持っていても彼らはちゃんと考え,感じる能力を持っています。

誰とでも話をしたいと思っています。

そして彼らも私たちと変わらない同等な社会の一員なのです。

あなたも重複障害者に対する意識を変え,彼らが生活向上につながるATをもっと利用できるよう協力を惜しまない人になってください。

きっとあなたの人生も変わることでしょう!

参考情報(14:26 – 14:49)

(第3部おわり)

「特別支援学校の特別おもしろ祭(特特祭)」に出展します!

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チラシ表

2019年8月18日に東京郊外で行われる「特別支援学校の特別おもしろ祭(特特祭)」に出展予定です。

特特祭のコンセプトがサイコー。

「障害攻略課」とか,いいなあ。

特別支援学校を特別おもしろい学校に!

令和うまれ、特別支援学校のあたらしいお祭りです。

ふだんはなかなか出会うことのない「特別おもしろいスポーツ」「特別おもしろい音楽」「特別おもしろい食」などがぎゅっと集結し、それぞれの「特別おもしろい未来」が見つかるお祭りをめざしています。

https://tokutokusai.peatix.com/

「スポーツ弱者を,世界からなくす」がコンセプトの世界ゆるスポーツ協会代表の澤田さんがまとめ役になっています。

発想と行動力がすばらしい!!

で,「島根大学」としては,視線入力による対戦ゲームをベースとした出展を予定しています。

出展ゲームは,もうちょっとおもしろくしないとな。。。

チラシ裏

【感謝】機械・電気電子工学科教育賞(特別賞)を頂戴しました

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学科の特別賞をいただきましたm(_ _)m

学科の教員みなさま,ありがとうございます。
この場をかりて,感謝申し上げます。

みなさまからのクールなエールだと思い,これを励みにがんばりたいと思います!
2年前の実績ですので,ちょっと恥ずかしいのですが(^_^;)

今度は,ちゃんと論文のポイント数で受賞できるように気合を入れます。

そして,ちゃんと元気になります。

【祝・一次試験合格】盲ろう+肢体不自由の橋本紗貴さん

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やったね!

紗貴さん,ついにやりました!

熊本県教員採用試験の一次試験に合格です!

試験の手応えはあったようですから,実際,その通りの結果となりました。

「見た目の100倍」重い身体障害で,ほんともうよくぞやりきりました。

手話でやりとり

支援機器はもちろんのこと,手話と点字を併用してのコミュニケーション。

そんな状況での合格。

まったくもって,快挙としかいいようがありません。

5031,あった!

紗貴さん,日々の生活を送るだけでも大変だというのに。。。

大学に通学し,さらには試験勉強や教育実習も。

そんな紗貴さんですが,おちゃめな一面も(^^)

目が見えないのにお化粧すると。。。

無謀な挑戦!
あらら。。。

お化粧は不要な気もしますが,お年頃ですからね。

ブラインド化粧の分野を確立するかもしれません。

これだけの努力で人生を切り開いてきた紗貴さんですから,どんなことも夢ではありません。

授業中の模様

【平成30年度】ちゃっかり、学内表彰を総ナメしてました。

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「研究」と「教育」のダブル受賞(私:下段左から4人目)

今日は,橋本紗貴さんの教員採用試験(一次)の合格の知らせを聞き,自分のことのように嬉しい日です。

さて,自分のことはというと,去年度は一定の評価が得られました。

普段,自分のことを振り返ることがあまりないので,出雲国大学の伊藤研究チームの評価をちょっと整理。

そして,指導学生もすばらしい受賞がありました。

受賞にあたっては,全国・世界のみなさまからのあたたかい応援が力強い後押しとなりました。

授賞式は平成31年度入学式に厳かに行われました(T_T)

医学部生(左)と指導学生の長井くん(右)

共同研究者の受賞もありましたね。

とはいえ,われわれは学内でもっとも小さな研究チーム(3名)ですから,いたって地味な存在です(^_^;)

ですので,たまには新聞やテレビでもアピール!

弱小チームゆえ,リソースは最大限に活用するのが定石。

長井くん、2019年5月27日付け毎日新聞山陰版に登場!

学生にかかわる活動の新聞記事化は,主に親御さんに向けてですね。

学費は無駄ではなく,ちゃんとがんばっていますし,人の役にも立っていますよ~って意味を込めています。

実は,意図的にやってます。

教授会でミニプレゼン

「教育」「研究」のダブル受賞に関連して,教授会でのミニプレゼンの機会をもらいました。

他分野の教員のみなさんに地味な活動を知ってもらえたので,とてもうれしい機会。

これからも,EyeMoTや関連研究を地味にやっていきます。

共同研究者の森脇さん(作業療法士)

ところで,最近は一線を退いておりますが,私が技術責任者をつとめている WheeLog! は絶好調!

代表の織田友理子さん,知識責任者の吉藤オリィくんやユーザーさんの激アツな活動により,日本を代表するバリアフリーマップアプリとなっています。

去年度は大きな賞も受賞し,今年度はさらなる飛躍がありそうです。

織田友理子さん(下段右から4人目)
伊藤(上段右から5人目)
WSAグローバルチャンピョン(すごい賞らしい)

こちらも,できるかぎりの貢献をしていこうと思います。

この夏のイベントも盛り上がりそうですね!

【アップデート】EyeMoT 3DX 「対戦ぬりえ」が大幅改善してα2→α3となりました

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タイトル画面

機能を大幅改善して α2 から α3 になりました。

機能改善箇所は以下です。

  • 設定画面のデザインと機能
  • ハンディキャップの設定
  • ルームボタンの表示内容
  • ボイスチャット機能
  • これまでのペイントモードに加えてトレースモードを追加
  • その他バグ修正

EyeMoT 3DX 「対戦ぬりえ」α3

ルーム選択画面

誰が入室して,どのモードが選択されているのかわかります。

ゲームモード選択

最初にルームに入る人は,ペイントモードかトレースモードを選択します。

ペイントモード

ペイントモードはこれまでの,とにかく塗りつぶしてどれだけ塗れたのか競うゲームです。

トレースモード

トレースモードは,決まったルートどれだけきれいに塗れるのか競うゲームです。

今回初登場ですので,今後改善していく予定です。

設定画面

今回のアップデートで,トピックなのがこの設定画面です。

まず,塗るときのペンサイズを変更することでハンディキャップが設定できます。

標準ペンサイズは 1.0 で,より太いペンサイズを使うには 1.25 か 1.5 を選択してゲームを有利にできます。

逆に,0.5 や 0.75 を選んだ時は標準サイズよりも不利になります。

さらに,ボイスチャットの設定も行いやすくなりました。

ここでマイクを ON にすると相手に声を送ることができます。

自分が OFF で相手が ON の場合は,相手の声だけが聞こえる状態になります。

双方が ON の場合は,会話ができるようになります。

ぜひ,α3 をお試しください!


【新作】EyeMoT 3DX 「エアホッケー」を公開しました

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オンライン対戦可能なEyeMoTシリーズの第二弾である「エアホッケー」。

いよいよ公開です。

このゲームは,いわゆるどこのゲームセンターにもある「エアホッケー」で,パックを相手のゲートに入れればいいだけです。

ただし,まだα版(試作の試作)ですので,おかしな動作は発生すると思います。

オンライン版といっても,特に難しいことはありません。

ルームに入って,対戦相手が見つかればすぐにゲームが始まります。

まれに,パックが怪しい動きをする時がありますがご了承ください(^_^;)

まじか!カブトムシの決死の脱獄劇

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一ノ関駅

まだあたため中のカブトムシ企画。

実験用にカブトムシをいただきました。

夜になったらやたらうるさくなり。。。

女子の1匹は格子を破って脱獄してきました。

まじか!何という怪力。

「自分の未来は自分の力で切り開く」ということを教えてくれているようです。

が,ドツボにハマってこれ以上動けなくなっていましたが。。。

他の4匹は全部男子だったので,居られなくなったのでしょうか。

すまんね,狭くて!

まずは仮住まいとして,大きめの籠にビリビリに破った新聞紙を敷きつけてプライベート空間を確保しました。

はやくちゃんとした家を用意しないと。

あ,ムスメ弐号のシルバニアファミリーの家が空き家だな。

空き家

【アップデート】EyeMoT 3D Game 01 「射的」の写真選択にランダム機能を追加

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「射的」で任意画像に変更できるアップデートに伴い,ランダムで画像を表示する機能が失われておりました。

今回,その補完ののために,画像をランダムに配置する機能を追加しました。

右上に「ランダム」ボタンを追加

右上のランダム化ボタンを押すと。。。

フォルダ内の画像がランダムに配置!

フォルダ内の画像がシャフルされて再配置されます。

再配置された画像に対して解答を定義できます。

ぜひ,アップデートしてみてください。

視線入力訓練ソフトEyeMoT 3D GAME_01

え?支援学校の授業って秘密だったの!?

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一体,何のコラージュかと思いました。

コレ,支援学校の授業模様をブログに掲載するために取った「特別措置」とのことです。

ブログのオーナーは,岩手県の支援学校教諭で,私の共同研究者でもあります。

当初,こんな青いヌリヌリもなく掲載していたそうですが,外部からの匿名メールで「授業をブログに載せるなどけしからん」的な指摘があったそうです。

それを受け取った校長が,ブログ記事のオーナーに写真等の削除を指示しました。

おいおい,校長ダサすぎですのミスリードです。

匿名メールの言いなりになって,自分の部下を守ることなく貶めました。

この匿名のエライ方については,ガッツリ言っておきたいことがあるので,別の機会に記事にします。

https://ameblo.jp/naoblauhimmel/entry-12495740986.html

地方公務員法第34条には「職務上知り得た秘密」を他言してはいけないと明記されています。

(秘密を守る義務)
第三十四条 職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また、同様とする。

https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=325AC0000000261#345

校長が削除を指示したってことは。。。

もしかして,支援学校の授業模様って秘密なのですか??

秘密の授業って一体!

冷静に考えれば,保護者もオッケーで,写真にも個人情報等が無ければ特に問題になるはずもありません。

そもそも,学校は血税で運営されている公的サービス機関であり,その取り組みを広く知ってもらうことに何の問題があるのでしょうか。

写真付きのブログ記事により,学外の専門家からのアドバイスがもらえるなどメリットはたくさんあります。

正直言って,学校の中だけで情報共有したところで大したアドバイスはもらえません。

重度障害者の支援(教育含む)は極めてニッチな分野です。

情報共有をするなら積極的に全国・全世界の中で行うのが合理的かつ効果的なのです。

話が長くなりそうなので,ここまで。

しかし,匿名のエライ人。

アホですわ。

支援学校教員 より:
2019年7月25日 19:24

(中略)

それと、例の女性教員ですが、「保護者の承諾を得ています」と追記していますが、問題の本質を全く分かっていないですね。
公務員が職務上知り得た情報を私的に公開してはいけないのですが、世の為人の為ならOKだと思っているようですね。

https://www.poran.net/ito/archives/15241

「職務上知り得た情報」?

勝手に「秘密」→「情報」と意図的に置き換えていますね。

意図的じゃなくてもアホ確定。

行くぞ!信州カンファ(盛岡→上田)

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http://possyun.la.coocan.jp/00file/shinshu_confe19.pdf

信州カンファ(8月3-4日),盛岡さんさ踊り(8月2-4日)と丸かぶりなので行くかどうか迷っていました。

ムスメらが出場するのは8月2日とわかったので,当日参加で行くことにしました!

間に合うな!

時間は何とかなる,交通費も大丈夫でしょう。

たぶん。

問題は,上田駅 → 長野大学の交通。

みなさん,どうしてるのかな。

4日夜,羽田より出雲国に帰国します。

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